ペチカ煙突のつまり

 

昨年暮れのことですが、ペチカがうまく燃えずに煙が室内に逆流してしまう との電話をもらいました。

話しをしていく内に、今から20年近く前にペチカのみを施工させて頂いたお客さんであることを思い出しました。煙突掃除を最近いつしたか聞くと、シーズン前に業者に見てもらったとのことなので煙突の詰まりが原因では無いと思われます。

煙が室内に逆流する原因は煙突の詰まり以外ではほぼ一つ。室内(ペチカ内部)と外気との温度差が無い場合に熱と煙がうまく煙突内部を上昇せずに室内に逆流するパターン。

外気がまだそれほど寒くないシーズン始めなどに、窓を閉め切った状態でかつ台所などの換気扇が回っている夕方時に良く起こる現象で、要は室内の気圧が負圧になっているため煙が煙突を昇っていかずに逆流してしまうのです。大抵は近くの窓を開けて空気を取り込んでもらえれば解決するので、今回のケースもおそらくそれが原因だろうと思いましたが、この状況が何日も続いているということが引っかかり、また随分とご無沙汰していたこともあり直接伺うことにしました。

早速次の日、普段ペチカを焚かれているというお婆様と煙が逆流する仕組みなどを話しながら慎重にペチカを焚いてみました。もちろん近くの窓も開けて空気を確保した上で。

それなのに、確かにペチカの焚き口や掃除口金物のすき間から煙が逆流してくるのです。火の燃え方も全然勢いが無く明らかに何処かがおかしい。煙がモクモクと充満する中、一旦燃えだした焚口の薪を何とか外に出して、もう一度ペチカの内部を覗いてみるも、これと言って問題になるようなところは見当たらない。もしかして煙突の中に何か詰まっている可能性も捨てきれないため、煙突直下の掃除口を開け、下からスマホで煙突内部の写真を撮ってみたところ、、、

 

煙突掃除をしたというのに、しっかり詰まっているではないか!!

どうやら普段からダンパーの開閉をしないまま、半開きの状態のままでペチカを焚いていたことが判明! 煙突掃除もダンパーをしっかり開けないまましたらしく、せっかく掻き落としたススがダンパーのところでせき止められていたのでした。

下から細い鉄棒を突っ込み、手探りで詰まっていたススを掻き落としたところ、出るわ出るわ! これだけ詰まっていればそりゃ燃えないわ!! ってくらい出ました(苦笑)

 

 

 

 

引き渡し時にペチカの焚き方を説明して依頼、その後一度も顔を出す機会が無いまま来てしまったこともあり、お客さんも今一つきちんとしたペチカの焚き方をマスターしないまま何となく使い続けてしまった結果が今回のケース。 今回は幸いにして弊社に連絡を頂けたので解決しましたが、知らずにそのまま使い続けることで重大な事故に繋がることだって可能性としてはあり得ると思います。 ペチカの焚き方は、他の薪ストーブと同じで「こうでなければダメ」といった決まりがあるわけではなく人それぞれの焚き方・楽しみ方があって良いと思いますが、最低限の焚き方や手順・ルールがあることも事実です。今回の出来事を期に、私たちも再度ペチカのお客さんに対して適切なアフターフォローが出来ているか見直す必要があると感じました。

 

因みにペチカを使う上で特に気をつけるポイントは大きく二つ。

一つ目は何と言っても「薪の乾燥」です。これはペチカに限らず薪ストーブ全てに言えることですが、生っ木の薪を焚き続けると、てきめんにペチカ本体や煙突の内部が汚れます。上記写真の煙突内部にも黒光りするススがびっしりと付着していますが、これは未乾燥の薪の水分がタール(木酢液)となって滲み出て固まったものです。煙突内部にこれらが溜まっていき、ある時発火して煙突の中で激しく燃え出すのが「煙道火災」です。薪ストーブの火災原因の圧倒的第一位がこの煙道火災によるものです。

二つ目は、ある程度「勢いよく燃やす」ことです。ペチカ本来の暖房能力を最大限に発揮させるには、いかに本体レンガに多くの熱を蓄えられるかに関わってきます。その為にはある程度勢いよく燃やすことが重要になってきます。火持ちよりも「火力」なのです。長時間でなくて良いので勢いよく燃やすことでレンガに多くの(高温の)熱を蓄熱させる。火が消えればダンパーを閉じて温かい空気を逃がさないようにする。これが有賀製材所で作っているペチカの基本的な焚き方です。

一番いけないのは、乾燥の甘い薪を長時間トロトロと焚き続けることです。これをやるとてきめんにタールがこびりつき、酷い場合はレンガの目地から外に染み出てきてレンガを真っ黒に汚します。煙突からも常に煙がモクモクと出続けるため良いことが一つもありません。

 

 

乾燥さえしっかりしていれば薪の種類は問いません。よくマツなどの針葉樹はヤニっ気が強く薪には向かないのでは、という意見を耳にしますが、乾燥さえしっかりしていれば全く問題ありません。むしろ、燃焼温度が高い針葉樹の方がより多くの熱をレンガに蓄えられるため、ペチカに向いていると言っても良いかもしれません。

そんな訳で、ペチカはしっかり乾燥した薪をある程度勢いよく燃やしましょう。火持ちより「火力」です! というのが今回のお話しでした。

 

最後に、事務所で毎日焚いているペチカ煙突内部の写真を1枚。

メチャメチャキレイです。因みに事務所のペチカを使い始めて10年以上経ちますが、煙突掃除は一度もしていませんよ。

それと、もしペチカの煙突掃除をご希望の方がおりましたらお気軽にお問い合わせください。上伊那地域内であれば大体2.5~3万円前後で専門の業者に見てもらえます。煙突の掃除だけでなく本体のメンテナンスも同時に見てくれますので、数年に一度のこと、安心を買うつもりであれば決して高くないと思います。

 

 

 

 

 

 

明けましておめでとうございます

 

2020年元旦の朝は氷点下7℃とこの冬一番の冷え込みとなりましたが、雲一つない快晴の青空の下、新たな年の幕開けとなりました。この穏やかな空のように、2020年が皆さまにとって素晴らしい一年となりますようお祈り申し上げます。

 

 

さて昨年は災害の多い年で、ここ伊那市でも台風19号による強風被害が相次ぎ秋から冬にかけては屋根や外壁の改修工事に明け暮れた2019年でした。幸い大きな改修工事を何とか年内に区切りを付けることが出来ましたのも、また現在新築中の物件が暮れの慌ただしい時期ではありましたが天候にも恵まれ無事上棟を迎えることが出来ましたのも、製材所のスタッフと職人の皆さまのご苦労と、そして有賀製材所を支えてくださった多くの皆さまのお陰でありました。

そして何より、有賀製材所へ仕事を依頼してくださった多くのお客さまに心より感謝を申し上げます。時には工期に時間が掛かったり、お待たせしてしまうこともありますが、本年も心を込めて丁寧な仕事をさせて頂きますのでどうぞ宜しくお願いします。

 

毎年暮れは、年末の挨拶回りでバタバタするのですが、昨年末は250軒近くある挨拶回りの内、約1/3を経理(姉)の信子さんが担ってくれました。当初は「暮れの挨拶回りくらいは自分が行かなければ」という思いもありましたが、結果的には例年より精神的にも時間的にも余裕のある年末となり大変ありがたかったです。挨拶回り先でも時間に追われることなく久しぶりに話が出来たお客様も沢山おられて、誰かに頼ることも時には必要なことだと実感した次第です。2020年、目の前の人にも感謝の気持ちを忘れずに日々の仕事が出来たら良いなと思っています。

 

 

大晦日の夜は久しぶりに紅白をテレビで見ました。歌番組というよりバラエティー番組か?と勘違いしたくなるようなごちゃごちゃした演出にちょっと戸惑いましたが、そんな中でも竹内まりややユーミンの出場にはビックリ! 二人とも年を重ねて素敵な歌声でした。ミーシャ、スーパーフライ、氷川きよしの迫力ある歌唱力にも脱帽!あと個人的にはビートたけしの浅草キッドも良かったなぁ。 今年も好きなドラマを見て、好きな音楽を聴いて、好きな本を読む、そんなちょっとした時間と気持の余裕を少しでも持ちながら仕事にも子育てにも地域の役員にも頑張りたいと思います。

本年もどうぞ宜しくお願いします。 有賀製材所 有賀真人