‘木のこと’ カテゴリーのアーカイブ

栗と唐松のフローリング納品(暮らしと建築社さん設計)

2019年12月8日 日曜日

 

今年の夏に床板のご注文を頂いた木曽の新築現場が完成した、という知らせを受け、先日会社のスタッフみんなで見学させて頂いてきました。

伊那市のすぐお隣宮田村にて、ご夫婦で建築設計事務所を主宰されている「暮らしと建築社」さんが設計監理を手掛けられた物件です。http://www.kurashitokenchiku.com/

 

今回納めさせて頂いた床板は、栗(クリ)と唐松(カラマツ)の二種類。

 

栗のフローリング

有賀製材所では地元の木を使って様々な床板・壁板を作っていますが、その多くが針葉樹(マツやヒノキ、スギ)の中にあって、栗は数少ない広葉樹の仲間になります。

広葉樹独特の「表情豊かな木目」と「色合いの美しさ」が栗の大きな魅力の一つです。また、針葉樹に比べて堅い木のため傷が付きにくいという点も魅力です。

 

 

栗とよく似た木で楢(ナラ)材もありますが、こちらは栗よりも更に堅く重厚感のある床材で、割と一般的に流通している床材のため比較的目にする機会が多いと思いますが、栗のフローリングはあまり市場に出回っていないため珍しいかもしれません。

 

 

暮らしと建築社さんではかれこれ十数年来、有賀製材所の栗フローリングを設計に取り込んで頂いており、過去にも沢山の現場に納品させて頂いてきましたが、今回設計の須永次郎さんに栗のフローリングの何処が良いのか改めてお話しを聞きしたところ、上に記した魅力はもちろんのことですが、それ以上に「温かさ」が大きな魅力だと話してくれました。

先程のナラ材と比べても、室内の体感温度が圧倒的に栗の方が温かく感じるそうです。確かにナラと栗とでは、見た目はよく似た広葉樹ですが木材の重さは圧倒的に栗の方が軽いのです。軽いと言うことは木の繊維内に空気を多く含むため重たい木に比べると肌触り(表面温度)は温かく感じられるのです。この「表面温度」が実はとても大切で、内装に使っている素材によって床や壁天井の表面温度が違うため、仮に同じ室温の部屋であったとしても人が感じる体感温度は全然変わってくるのですね。

 

カラマツのフローリング

こちらはカラマツの柾目(まさめ)フローリング。広葉樹と違って針葉樹らしい直線的な木目が美しい床板です。ここ数年有賀製材所で試作を続け、最近新たな床板として自社使用、更には販売に力を入れている床板ですが、以前何かのおりに「こんな床板もあるよ」と暮らしと建築社さんにご提案したところ、早速設計に取り込んで頂きました。

 

 

一本の丸太でも製材の仕方によって板の木目が様々な表情に変わりますが、この柾目(まさめ)は樹齢70~80年以上の太い丸太からしか取れない貴重な材になります。

今でこそカラマツ材はそこそこ建築用材として見直されてきましたが、つい最近まで(いや今でも)”カラマツなんて” などと言われて敬遠される時代が続いてきました。でも、こんな綺麗な木目のカラマツを使わないなんてもったいないですよね。

 

 

 

見学させて頂いた建物は週末だけ山暮らしを楽しむための別荘とのこと。私たちが伺った15時頃は木曽の山あいの地は既に日が暮れかけ、一気に気温が冷え込む時間でしたが、南に面した大開口の窓から日中たっぷり日差しを取り込んだ室内はストーブを一切焚いてないのにも関わらず大変温かく、そしてとても明るく開放的なおうちでした。大工さんも大変丁寧な仕事をされており、普段他社の仕事を見る機会が少ない製材所のスタッフたちも興味津々で見学させて頂きました。

 

 

先程カラマツ材が建築用材として見直されてきたと書きましたが、ただその実状は”合板使用”です。現在の住宅は合板を多量に使用する為、その材料にカラマツ材が多量に使われるようになったのです。確かに建築用材ではあります。でも我々無垢の木を扱う製材所の人間からすると、このカラマツ材の美しい木目や粘り強い強度、輸入の米松(ベイマツ)材には出せない美しい赤身の色合いを、もっとダイレクトに構造材や仕上げ材として、実際に目に見えて触れられるところに使いたい思いが強いのです。

そんな思いを共有してくれる暮らしと建築社さんのような設計事務所さんがこの地域の中に居られることは、同じ設計者として、更には無垢の木を扱う製材所としてとても心強く思います。今回の見学、本当にありがとうございました!

そして今この伊那谷には同じような意識を持った設計士さんや工務店さんが増えてきたと感じます。今後もそんな方たちと一緒になって面白い仕事が出来れば良いなと思っています。

 

 

それにしても木曽と伊那谷を結ぶ権兵衛トンネルの通行止めで、普段ならものの30分で行けるところがその3倍掛かりました^^; 先日の新聞で、年内に仮設の道路が整備されるような記事が載っていましたがどうなんでしょうかね?一日も早い復旧が望まれます。

 

 

 

 

長和町小林木材(株)様へ見学

2019年5月4日 土曜日

ちょうど1ヶ月ほど前になりますが、長和町にある小林木材(株)さんへ、製材所の見学に行ってきました。

小林木材さんはカラマツ材をメインに製材する、県内でも有数の製材所です。http://www.koba-moku.co.jp/

 

うち(有賀製材所)も、かれこれ30年、カラマツ材を積極的に扱ってきただけに、他の製材所がどんな風に製材しているのかとても興味がありました。

場所は、伊那から行くと和田峠を越えた向こう側(旧和田村)にあり、周りを緑に囲まれた自然豊かな所です。

事前に社長に電話で見学の申し出をした際には、「いやー うちなんかに見学に来てもあんまり見るとこはないよー(笑)」何ておっしゃっていましたが、実際に行ってみると何棟もの工場・社屋が建ち並び、あちこちに立派な信州産カラマツ丸太がゴロゴロと積み重なっていて、のっけから興味津々の我々スタッフたち。

 

早速小林社長が出迎えてくださり、工場の中を案内して頂きました。

現在の小林基英社長は2代目で、息子さん、その他十数名の従業員と共にカラマツ材をメインとした製材、請負、様々な製品の製造を行っています。

カラマツの構造材(梁・桁材)

うちは構造材に関しては天然乾燥主体でやっていますが、小林木材さんは木材乾燥機3台をフルに活用して、より安定して乾燥材を供給出来る体制が整っています。

 

上の写真は木材乾燥機へ熱源を供給するためのウッドボイラー。以前は燃料に灯油を使っていた時期もあったそうですが、工場から排出される端材や木の皮などを燃料とすることで、今では灯油を使わずに24時間体制で木材乾燥機を稼働させているとのこと。この徹底ぶりは実はスゴイ事で、なかなか真似できません。

 

 

 

戦前から戦後にかけて、成長が早いという理由で特に長野県内では積極的に植林されたカラマツですが、ねじれやヤニの問題、更には海外からの外材に押され、世間一般的には、” カラマツなんて ”と言われ、建築用材としては敬遠されることの多い材でした。

でも本当は大変優れた木なのです。赤身の美しい木目、優れた木材強度と耐久性は他のどんな木材にも負けません。カラマツの欠点と言われる「ねじれ」も、上の方の写真にあるような大径木であればそれほど心配なく使えます。

最近はカラマツの需要が増えてきて、特にここ数年で全国の合板工場がこぞってカラマツ材を仕入れるようになりました。合板とはいえ建築用材としてのカラマツ需要が増えるのは悪くないことですが、でもやっぱり我々製材所を営む者からすると、出来れば無垢の木材を使いたい、使って貰いたい思いが強いのです。

うちも長いことカラマツ材を扱ってきましたが、小林木材さんでも同じように、イヤうちよりももっと多くのカラマツ材を積極的に扱っている姿勢に大変心強いものを感じました。そして、普段よその製材工場を見ることが少ない我々にとって、色々と刺激を受けた見学会になりました。

 

最後に小林社長(右から2番目)と記念写真。とても気さくな社長で、じっくりと時間を掛けて会社内のあちこちを丁寧に案内してくださいました。お忙しい中にもかかわらず気持ち良く迎えてくださり、本当にありがとうございました。

有賀製材所 有賀真人

 

 

 

丸太の買い付け

2015年4月22日 水曜日

 

 

有賀製材所で扱っている木材の元になる丸太(原木)は、主に県内各地の市場から買い付けています。

県内外より買い付け人が集まり自分の欲しい木にそれぞれ値段を付けていき、最終的に一番高く値を付けた人が競り落とす仕組みです。
同じ木でも季節によって価格が変動したり、転売目的で大量に買い取る業者もいる中で自分の欲しい木を競り落とすのは、まさに長年の経験と勘がモノを言う世界です。

 

 
DSC07796松本市にある「中信木材センター」
ヒノキ、スギ、カラマツ、アカマツ、ナラ、クリ、……
様々な種類の丸太が広大な敷地に所狭しと並びます。

 

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写真の丸太は「モミ」の木です。
小さい若木はクリスマスツリーに使ったりしますが、大木になると諏訪のお祭り「御柱祭り」にも使われる木です。
このモミの木は粘りがあり釘を打っても割れにくいため、よく下地材として使います。
下地材というのは名前の通り表からは見えずに隠れてしまう材なのですが、仕上げ材を支える重要な部材になります。

 

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この丸太は「アカマツ」です。県内のどこにでも生えている木で、よく手入れをされたアカマツ林では松茸が採れることでも有名です。
幹の表面が赤色をしているのでアカマツと呼ばれますが、内部は白っぽい色をしています。有賀製材所ではこのアカマツから主に床板(フローリング)を取ります。

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アカマツの床板と腰板。
適度な堅さと適度な温かさがあり、使い込むうちにツヤが出てとても良い風合いに変化していきます。

 

 

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地元伊那にある「伊那木材センター」では先日の市売りでヒノキの丸太が出ていました。
写真のように何十本もまとめて一山単位で競りに出されることもよくあります。
基本的には「1立方メートル当たり幾ら」という単位で入札をするのですが、写真の丸太の山は「20立方メートル」近くあるので入札金額も慎重に決める必要があります。
丸太の曲がり具合、節の有る無し、年輪の細かさなど様々な要素を考慮して入札金額を決めていきます。
ちなみに写真のヒノキ丸太からは4寸角の柱材が取れそうでしたが、今は在庫があるため今回の入札は見送りました。

 

 

 

DSC08008飯田市の隣り、喬木(たかぎ)村にある「飯伊森林組合」です。
長野県でも南の地域(南信地域)はスギの産地でもあるため、今回の市売りでもスギが沢山出されていました。
有賀製材所で建てる板倉造りの家はスギの厚板を大量に使うので、丸太もある程度まとめて仕入れることが多くなります。

 

 
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それ以外にも、木曽や北信(長野市)など県内各地まで足を運んで丸太を仕入れてきます。

 

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競り落とした丸太は会社のトラックで運んだり、場合によっては運搬業者に依頼して運んでもらったりします。
こうして県内各地から集めた純粋な「長野県産の丸太」を、製材・乾燥・加工して有賀製材所では家を建てています。