ブログ再開です

長らくほったらかしにしていた有賀製材所のホームページとブログですが、久方ぶりに更新いたしました。

 

ご存じの方もおられると思いますが、昨年9月に有賀製材所が二つの会社に分社いたしました。

私の父「有賀進」が代表となり、私以外の2名の設計士、その他数名の従業員と共に、有賀製材所の第2工場だった場所に、木造住宅専門の工務店 「(株)こだま建築舎」 を立ち上げました。先ずは有賀製材所とこだま建築舎共々今後ともどうぞ宜しくお願いします。

ただ、有賀製材所の顧客の皆さまにとっては、大変分かり辛い分社で、「住宅のメンテナンスや、困ったことがあったときの相談など、どこに相談したらいいのか分からない」といったお声を幾人ものお客さまから頂きました。おそらく同じようなご不安をお持ちのお客さまも大勢おられるのでは、と思います。

有賀製材所としましては、住宅・ペチカのメンテナンスや、住まいに関する相談事など、どんなことでも今まで通り何ら変わらず対応いたしますので、何かありましたらいつでもお気軽にお声かけください。

本来であれば、一軒一軒お伺いしてご説明しなければならないところですが、大変遅くなってしまいましたが、この場を使ってご報告させて頂きます。

 

さて、私たち有賀製材所はこの伊那の地で90年以上に渡り製材所と工務店を営んでまいりました。

製材所では、長野県産の多種多様な丸太を製材して、住宅に使う様々な材料を生産していますが、今その製材所が大変貴重な存在になってきたことを、ここ数年で特に感じるようになってきました。以前は地域の中に当たり前に存在していた、うちのような小規模な製材所がどんどん姿を消しているのです。最近では伊那地域以外の遠方からの製材依頼や製材品の注文が増えてきました。

 

 

 

今までの有賀製材所は自社で請けた住宅用(自家用)としての製材や製品加工がメインでありましたが、品質の更なる向上や営業努力を行い、長野県産材、更には伊那産材といった地域材・地元材の魅力と価値をもっと多くの工務店、設計事務所、木材業者にも知って頂き、更には使って頂くことも、これからの有賀製材所に課せられた大きな使命ではないかと思うようになりました。

製材所の仕事は、簡単に言うと「丸太を製材して製品にする」ことです。それは、林業家、素材生産者、治山業者、木材市場といった「川上」と呼ばれる人たちと、設計事務所、工務店、木材業者、大工さんやお客様といった「川下」と呼ばれる人たちとを「繋ぐ」とても大事な仕事です。これだけ森林資源に恵まれた伊那谷であっても、「川上」と「川下」が交わる接点が本当に少ない中で、有賀製材所が自社のことだけを考えて仕事をしていたのでは、あまりにも勿体ない話ですよね。人と人との繋がりを大切にしながら、地域の中の他の工務店、設計事務所、木材業者さんもライバルではなくパートナーとしてお付き合いしていけたら嬉しいです。

 

お陰様でこの製材所には毎日本当に色んな方たちが訪れてくれるようになりました。最近では製材所の仕事を見たいと、定期的に製材工場の見学に来ていただける方たちも増えてきました。でもそれは、私たちの意識が変わってきたからではないかと思います。私たち自身がこの製材所の仕事に誇りを持ち、多くの出会いに感謝して仕事に向き合うことで、自ずと様々な人が集まってくる製材所になってきたと感じます。

「あそこに行けば何か面白いことがある」

「色んな新しい出会いがある」

「もう一回行ってみたい」

有賀製材所を訪れてくれた方々がそんな風に感じていただけるような会社をスタッフ一同目指します。

そして有賀製材所のもう一つの大事な「家を建てる仕事」も、様々な人と人との繋がりを元に、製材所ならではの地元の木材を使って、丁寧に、じっくりと、時間をかけて手掛けていきたいと思います。

 

 

ホームページやブログはあくまでもほんの一例であって、全てではありません。有賀製材所がどんなところか気になった方は是非直接足を運んでみてください。製材機の回る迫力ある音と木の香り、地域材と自然素材を使って建てたショールームを兼ねた事務所、そしてペチカ等々。実際に五感を使って有賀製材所を見て頂けたら幸いです。皆様のお越しを心よりお待ちしております。

 

(株)有賀製材所 代表取締役 有賀真人 (昭和46年生まれ 一級建築士)

丸太の買い付け

 

 

有賀製材所で扱っている木材の元になる丸太(原木)は、主に県内各地の市場から買い付けています。

県内外より買い付け人が集まり自分の欲しい木にそれぞれ値段を付けていき、最終的に一番高く値を付けた人が競り落とす仕組みです。
同じ木でも季節によって価格が変動したり、転売目的で大量に買い取る業者もいる中で自分の欲しい木を競り落とすのは、まさに長年の経験と勘がモノを言う世界です。

 

 
DSC07796松本市にある「中信木材センター」
ヒノキ、スギ、カラマツ、アカマツ、ナラ、クリ、……
様々な種類の丸太が広大な敷地に所狭しと並びます。

 

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写真の丸太は「モミ」の木です。
小さい若木はクリスマスツリーに使ったりしますが、大木になると諏訪のお祭り「御柱祭り」にも使われる木です。
このモミの木は粘りがあり釘を打っても割れにくいため、よく下地材として使います。
下地材というのは名前の通り表からは見えずに隠れてしまう材なのですが、仕上げ材を支える重要な部材になります。

 

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この丸太は「アカマツ」です。県内のどこにでも生えている木で、よく手入れをされたアカマツ林では松茸が採れることでも有名です。
幹の表面が赤色をしているのでアカマツと呼ばれますが、内部は白っぽい色をしています。有賀製材所ではこのアカマツから主に床板(フローリング)を取ります。

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アカマツの床板と腰板。
適度な堅さと適度な温かさがあり、使い込むうちにツヤが出てとても良い風合いに変化していきます。

 

 

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地元伊那にある「伊那木材センター」では先日の市売りでヒノキの丸太が出ていました。
写真のように何十本もまとめて一山単位で競りに出されることもよくあります。
基本的には「1立方メートル当たり幾ら」という単位で入札をするのですが、写真の丸太の山は「20立方メートル」近くあるので入札金額も慎重に決める必要があります。
丸太の曲がり具合、節の有る無し、年輪の細かさなど様々な要素を考慮して入札金額を決めていきます。
ちなみに写真のヒノキ丸太からは4寸角の柱材が取れそうでしたが、今は在庫があるため今回の入札は見送りました。

 

 

 

DSC08008飯田市の隣り、喬木(たかぎ)村にある「飯伊森林組合」です。
長野県でも南の地域(南信地域)はスギの産地でもあるため、今回の市売りでもスギが沢山出されていました。
有賀製材所で建てる板倉造りの家はスギの厚板を大量に使うので、丸太もある程度まとめて仕入れることが多くなります。

 

 
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それ以外にも、木曽や北信(長野市)など県内各地まで足を運んで丸太を仕入れてきます。

 

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競り落とした丸太は会社のトラックで運んだり、場合によっては運搬業者に依頼して運んでもらったりします。
こうして県内各地から集めた純粋な「長野県産の丸太」を、製材・乾燥・加工して有賀製材所では家を建てています。

 

 

 

 

清明

『清明』(せいめい)
すべてのものが清らかで生き生きとするころのこと。
若葉が萌え、花が咲き、鳥が歌い舞う、生命が輝く季節。
(「日本の七十二候を楽しむ」より)

 

高遠町の藤沢地区というところで家を新築するに当たり
先ずは古い家の解体工事から始まり、ここ数日毎日のように
高遠城址公園のすぐ近くを通って現場に通っています。

先日桜の開花宣言が出され、
今年もいよいよ桜の季節がやってきました。
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昨日までの数日間、初夏のような暖かさが続き
今年は例年になく早い開花となりましたが
一転して今日は朝から雨降りとなり
咲き急ぐ桜をなだめるかのような寒い一日でした。

 

 

 

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うっすらと桜色に色づき始めた高遠城址公園は
これからの一時、それは賑やかな季節を迎えますが
同時に、町内は県内外からの観光客で溢れ
週末ともなれば交通渋滞が激しくなることが予想されます。
解体工事の業者さんも週末は仕事にならないかもしれませんね。

 

 

先日、長男の中学校の入学式に出席してきました。

つい先月小学校を卒業したばかりのまだまだ幼い子どもたち
と思っていましたが、制服に身を包んだ我が子の凛々しい姿に
親として感動を覚えました。

 

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新たな場所で新たな出会いを経験し、新たな挑戦をする中で
どうか生き生きと輝いて中学校生活を送って欲しいと心から願います。

 

 

 

 

啓蟄

 

3月も半ばを過ぎいよいよ春本番を迎えつつあります。
今日は天気こそ良くありませんでしたが日中の気温は15度近くまで上がり、朝焚いたペチカの熱が昼間は邪魔なくらい春めいてきました。

啓蟄の名の通り、雪と氷の溶けた地面から冬眠明けの虫たちが地表に出てきて活動し始める季節です。犬の散歩をしていると最近やたらと鼻先を土の中に突っ込んで何やら探し回っていますが、もしかしたら生き物たちの気配を感じているのかもしれません。

そういえば最近になって、自宅裏の林からアカゲラ(キツツキの一種)が盛んに木の幹をつつく音がしてきます。ドラミングと言われ、知らない人が聞いたら「いったい何の音だろう?」と不思議に思うような面白い音ですが、この音を聞くと毎年春を実感します。(聞いてみたい人はYouTubeで「アカゲラ ドラミング」で検索を!)

 

 

 

DSC07140 さて先日、以前新築させて頂いたお宅の外壁の塗替えの件で中川村まで行ってきました。

 

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伊那市よりも南に位置する中川村は、一足早く春の陽気に包まれていました。庭先の老梅の花が見事に満開で、辺り一面甘酸っぱい梅の香りが漂っていました。

僕が盛んに梅の香りをかいでいたら、お家の方が庭先にある未だ蕾のままの紅梅の枝とサンシュユの枝を一枝ずつ切って手渡してくれました。

 

 

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頂いた枝があまりにも大ぶりで生ける場所が見当たらなかったので、リビングの吹き抜けに水を張ったバケツをロープで吊し、その中に頂いた紅梅とサンシュユの枝を突っ込んでおいたら、ペチカの暖かさも手伝ってあっという間に満開になりました。

家中ほのかな紅梅の甘い香りが漂い、数日間贅沢な春のひとときを楽しませて頂きました。

 

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実はサンシュユという花を僕は知らなかったのですが、その後色々なところで見かけるようになりました。きっと今までも見ていたんだと思いますが、意識して見ていなかったので気が付かなかったんでしょうね。

春先の黄色い花と言えば「マンサク」を思い出しますが、自宅の裏にあるマンサクはまだ花を付けていません。マンサクは「先ず咲く」が訛って「マンサク」になったという話しを東北地方で高校時代を過ごした時に地元の方から聞いた覚えがありますが、このサンシュユはマンサクよりも更に早く咲くのでしょうかね。

これで春の花を一つ覚えることが出来ました。鮮やかな黄色でとてもきれいな花です。

 

 

 

 

春近し

2月も下旬を迎え、いよいよ日差しが春めいてきたのを肌で感じるようになりました。

 

近所の日当たりの良い土手には、早くも福寿草が満開を迎えています。
この場所の福寿草は昨年のブログでも紹介しましたが近所でも一番早く咲き始めるので、自分にとっては春の訪れを知る大切な場所です。
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この花を見ると、春がすぐそこまで来ている嬉しさと同時に、寒さ厳しかった冬もそろそろ終わりなんだなぁと、ちょっぴり冬が名残惜しいようなそんな気持ちにもなります。

 

 

 

 

さて、今月の7日・8日に行われた中川村の見学会、大勢の皆さまにお越し頂きましてありがとうございました。
両日とも足下の悪い中での開催となりましたが、皆さん有賀製材所の家づくりに興味を持ってご来場頂いた方達ばかりで本当に感謝いたします。

 

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今回の見学会もペチカを囲んで多くの皆さまと沢山お話しが出来、楽しいひとときでした。

 

 

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これから家を建てる方々にとっては、どんな家に住みたいかイメージしながらあれこれ見て回っている時が一番楽しいのではないでしょうか。

 

 

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家づくりは構想から実現に至るまで長い時間が掛かります。具体的に話しが進んで来ると時には厳しい現実を前に理想や夢をあきらめなければならないことも出てきますが、どんな状況であってもご自身の家づくりの過程を是非「楽しんで」頂きたいなと常に思っています。またそう感じてもらえるようにするのが私たちの仕事でもあると考えます。

 

 

それには、私たち自身が日々の生活を含めて毎日を楽しむことが何より大切かもしれません。

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我が家の鳥のえさ台にも最近ではメジロがやってくるようになりました。
春はもうすぐです。