丸太の買い付け

 

 

有賀製材所で扱っている木材の元になる丸太(原木)は、主に県内各地の市場から買い付けています。

県内外より買い付け人が集まり自分の欲しい木にそれぞれ値段を付けていき、最終的に一番高く値を付けた人が競り落とす仕組みです。
同じ木でも季節によって価格が変動したり、転売目的で大量に買い取る業者もいる中で自分の欲しい木を競り落とすのは、まさに長年の経験と勘がモノを言う世界です。

 

 
DSC07796松本市にある「中信木材センター」
ヒノキ、スギ、カラマツ、アカマツ、ナラ、クリ、……
様々な種類の丸太が広大な敷地に所狭しと並びます。

 

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写真の丸太は「モミ」の木です。
小さい若木はクリスマスツリーに使ったりしますが、大木になると諏訪のお祭り「御柱祭り」にも使われる木です。
このモミの木は粘りがあり釘を打っても割れにくいため、よく下地材として使います。
下地材というのは名前の通り表からは見えずに隠れてしまう材なのですが、仕上げ材を支える重要な部材になります。

 

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この丸太は「アカマツ」です。県内のどこにでも生えている木で、よく手入れをされたアカマツ林では松茸が採れることでも有名です。
幹の表面が赤色をしているのでアカマツと呼ばれますが、内部は白っぽい色をしています。有賀製材所ではこのアカマツから主に床板(フローリング)を取ります。

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アカマツの床板と腰板。
適度な堅さと適度な温かさがあり、使い込むうちにツヤが出てとても良い風合いに変化していきます。

 

 

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地元伊那にある「伊那木材センター」では先日の市売りでヒノキの丸太が出ていました。
写真のように何十本もまとめて一山単位で競りに出されることもよくあります。
基本的には「1立方メートル当たり幾ら」という単位で入札をするのですが、写真の丸太の山は「20立方メートル」近くあるので入札金額も慎重に決める必要があります。
丸太の曲がり具合、節の有る無し、年輪の細かさなど様々な要素を考慮して入札金額を決めていきます。
ちなみに写真のヒノキ丸太からは4寸角の柱材が取れそうでしたが、今は在庫があるため今回の入札は見送りました。

 

 

 

DSC08008飯田市の隣り、喬木(たかぎ)村にある「飯伊森林組合」です。
長野県でも南の地域(南信地域)はスギの産地でもあるため、今回の市売りでもスギが沢山出されていました。
有賀製材所で建てる板倉造りの家はスギの厚板を大量に使うので、丸太もある程度まとめて仕入れることが多くなります。

 

 
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それ以外にも、木曽や北信(長野市)など県内各地まで足を運んで丸太を仕入れてきます。

 

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競り落とした丸太は会社のトラックで運んだり、場合によっては運搬業者に依頼して運んでもらったりします。
こうして県内各地から集めた純粋な「長野県産の丸太」を、製材・乾燥・加工して有賀製材所では家を建てています。

 

 

 

 

箸材の製材

 

先日、辰野中学校の先生の依頼で「箸」の材料を製材しました。

生徒たちが自分で削って仕上げるとのこと。

切ったり削ったり加工するのに柔らかい針葉樹の材もありますが、

色々考えた結果、水に強く強度もある広葉樹の栗材にしました。

 

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上の写真の材料は、階段の蹴込み(けこみ)板用にストックしてある栗の板。

蹴込み板とは、階段の踏み板と踏み板の間に縦(垂直)方向に貼られている

板のことで、階段を登るときにつま先で蹴るような動作からついた名前です。

 

 

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今回はこの材を先ずは自動カンナで9mm厚まで落としました。

(20mm近くある厚みを半分まで落とすのでチョットもったいないのですが…)

 

 

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9mm厚に削られた板を製材機(台車)に並べ、先ず耳(皮の付いた部分)を落とします。

 

 

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後は台車で9mmずつ巾を落としていきます。

 

 

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最終的に9mm角の棒が1mの長さで150本以上取れました。(約300膳分です)

中には曲がったり割れたりしているものも結構あるので注文数より多めに製材しました。

 

 

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栗材は鉄分や水分に反応して変色したりアクが出たりすることがあるので

仕上げは蜜蝋ワックス等で念入りに拭き込むのが良いと思います。

辰野中学校の生徒さんたちが、この材をどんな風に仕上げるのか楽しみです。