見学会告知

来月の4日(土)、5日(日)の2日間、箕輪町で完成見学会を予定しています。

見学会場では見ることの出来ない、着工から現在(仕上げの工程中)までの 現場の様子をまとめてUPします。

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今年の2月に基礎工事を開始し、幾度も積雪に見舞われながらも3月に基礎完成。

 

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春の訪れとともに建前を開始。
板倉の家は建前と同時に内・外の壁が出来上がるのが特徴。見た目ではもう半分位出来上がったように見えますが、実際はこれから大工さんの長い造作(ぞうさく)工事が始まります。

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大工さんの造作と平行して、内部ではペチカの工事が進みます。

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6月、外部では左官屋さんによる壁のモルタル塗りが行われています。
現代の家づくりは「乾式工法」といって水を使わない材料で家を作る工法が主流になってきています。その方が養生期間の必要が無いため、天候に左右されることなく工期を短縮できるというメリットがあるからです。外壁に関しても、世間ではサイディング材(工場生産された鉄板や、軽量コンクリートなどの外壁材)が圧倒的に多く使われる中で、有賀製材所の建てる家の外壁では、モルタル下地+漆喰塗り仕上げのような「湿式工法」をよくやります。こような工法で、かつ自然素材を使うことで、より木の家らしい表情豊かな外観に仕上げることが出来るのではと考えています。

 

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2階のモルタル塗りが完了し、後は仕上げの漆喰塗りを残すのみとなりました。
この状態で1ヶ月以上の養生期間を取り、モルタルをしっかりと乾かします。1階の唐松板も貼られ、足場の外れる日ももうすぐです。

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8月、大工さんによる内部の造作工事も終盤に近づいてきました。
写真は玄関下駄箱の天板。クリ40mm厚の無垢板を接ぎ合わせて一枚のカウンター板にしています。

 

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こちらはダイニングのデスクカウンター。
たまたま欅(ケヤキ)の一枚板が何年も在庫で眠っていたのですが、長さ、幅共に今回の現場にピッタリだったため使ってもらうことにしました。この辺の材木のダイナミックな使い方(?)も製材所ならではです。

 

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洗面所カウンターは家具屋さんによるオーダーです。キッチンもお風呂も、そして洗面台も既製のシステム品が主流を占める現在の家づくりの中で、せめて洗面台くらいは「手作り」にこだわりませんか?というのが私どもの考え。間口90cmそこそこの洗面台に比べるとカウンタースペースに余裕のある洗面台は本当に使い易いと思います。

 

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ちなみにこちらのお宅はお風呂も在来工法(手作り)です。
床には暖かくて柔らかみのあるコルクタイルを、タイルから上の壁の部分は水に強い「サワラ板」を使用。木の香り漂う暖かみのある浴室は一見の価値ありです。

 

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玄関ポーチの土間は「玉砂利の洗い出し」仕上げ。
これも、古くから伝わる左官技法の一つ。玄関ポーチというと現在は磁器タイル貼りが殆どだと思いますが、この洗い出し土間も先程の漆喰壁と同じ「湿式工法」の一つ。玉砂利の色合いと凸凹具合が素敵な風合いと表情を引き出しています。何よりこの洗い出し仕上げ、意外と土間の汚れが目立たないのがお勧めです。

 

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季節は夏を通り過ぎて、すっかり秋空へ。

 

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着工から半年以上の工期を掛け、今月末にようやく完成です。
地元の木を使い自然素材で家を建てるということは、どうしても時間の掛かる作業になります。スピードが重視される現代の家づくりの中でこのようにじっくりと時間を掛けて家づくりをさせて頂けることは、そうは言ってもお施主様のご理解があってのこと。作り手としてとても有り難いことだと改めて感謝しています。

 

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同じ木の家でも手法は様々です。
現在は、無垢材の「割れやねじれ、反りや空き、表面の傷」といった欠点(特徴)を、高温乾燥や高い圧力をかけることで少なくする技術が開発されてきています。確かにそれにより誰にでも受け入れられやすい、使う側から言うと「クレームが付きにくい」均一化した品質の材が確保されるかもしれません。
ただ私ども有賀製材所のスタンスはそれとは少し違います。あくまでも地元の材を、極力「余計なエネルギーを掛けずに」使いたいのです。そして木が本来持っている特徴(温かさ、肌触りの良さ、優れた調湿性など)を住みながら実感して頂きたいのです。木の持っている良さを実感して頂ければ、床の傷や梁の割れも「風合い」として、時間と共に愛着あるものへと変わっていくと思います。
今回の見学会場となる家も、地元の木材と自然素材とをふんだんに使った木の家です。実際に見て触って、木の家の気持ちよさを体感して頂ければ幸いです。

 

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最後になりましたが、前回(6月)の見学会に続き今回も、飯田市の永井家具店さんhttp://nagai-kaguten.jp/による「ギャッベ」の同時展示会を予定しています。最近様々なところで目にするようになったギャッベですが、永井家具店さんが取り扱うギャッベはイランで300年も前から遊牧生活を送っている「カシュガイ族」によって織られる伝統の手織り絨緞です。木の家にもとても良く合う本物の手織り絨緞の気持ちよさも是非この機会に体感してみてください。

皆さまのお越しを従業員一同心よりお待ちしています。

Y様邸完成

 

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今年の春から本格的に工事が始まった、南木曽町のY様邸が完成しました。
南木曽町は先日の台風と大雨で大きな土砂災害が出た所です。幸い現場付近は大きな被害はありませんでしたが、一時間に90mmという想像を絶する雨量だったようです。地元の言い伝えでは「白い雨」が降ると「蛇抜け(じゃぬけ)」(土砂崩れのこと)が起きると言われているそうで、その日の雨の降り方も、まさに辺り一面「白い雨」が降ったようだったとYさんが話してくれました。

さて、この現場は大工さんたちは現地に泊まり込んでの作業になりました。それ以外にも伊那・塩尻から通って頂いた業者さん、地元南木曽町の業者さんと、本当に多くの皆さまの協力のお陰でこの度無事完成の運びとなりました。

 

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DSC02254玄関の土間には鉄平石を埋め込みました。

 

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DSC02185お施主様が自分で取り寄せた海外のステンドグラスをはめ込んだ建具。
(下の写真はケルト模様のステンドガラス)

 

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DSC02273床板は赤松板、壁板は杉の落とし込み板(1寸厚)をそのまま見せています。

 

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DSC02224階段板は、木目の美しい栗の板を使用。

 

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DSC022022階はワンフロアーの大空間。天井は低いけれど山小屋風の空間で、お施主様には大好評。

 

 

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今年のGWにはワラビ取りとタケノコ取りに誘ってくださったY様ご夫妻。
辺り一面に生えるワラビに、子どもたちだけでなく大人も大興奮。貴重な経験をさせて頂きました。「来年も是非いらしてくださいね」とのお言葉に甘えて、今から子どもたちと楽しみにしています。

Y様ご夫妻本当にありがとうございました。

 

 

 

梅雨空の建前

6月に入り、ずっと雨雲の広がる毎日が続いていますね。
週間予報では傘マークと曇りマークばかりが並んでいてなかなかお天道様が顔を出してくれませんが、そんな梅雨空の中、二軒の建前が行われました。

一軒は岐阜県中津川市のS様邸です。
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6月の初めから始まった建前ですが、3人の大工で約一週間掛けて屋根まで出来上がりました。

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梅雨空の中ではありましたが、大工さんの段取りのお陰で、ほとんど雨に濡らさずに屋根が上がりました。

この現場も遠方地のため、現場近くに一軒家を借り、平日は現地で寝泊まりしながらの作業になります。
食事は地元のお弁当屋さんにお願いして、昼食と夕食を配達してもらっているので大工さんたちも仕事に集中できますが、昔は遠方の現場の場合「飯場(ハンバ)」といって、簡単に囲った仮小屋を現場に作って、そこで自炊をしながら寝泊まりしたものだと棟梁が話してくれました。

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こちらも梅雨空とにらめっこしながらの建前となりましたが、それでも結局ほとんど雨に降られることなく屋根まで出来上がりました。

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いつ降られてもいいように、材料や道具を常に養生しながら作業を進めるのですが、天気の様子を気にしながらも、黙々と作業を進める大工さんたちの姿は覇気の迫るものがあります。

落とし込み(板倉)工法の建前は、土台を据え始めてから屋根が出来上がるまで、一週間近くかかります。ですのでその間に一度や二度は雨に降られることは、どの時期でもよくあることなのですが、それでもこの梅雨時の建前は一日に何度も何度も天気予報をチェックしては、天候の変化に一喜一憂する、気を揉む毎日でした。
(ただ、無垢の木は雨に濡れても乾けば元通りになるので、そのこと自体はそれほど心配しなくても良いのですけれどね)

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