ペチカの設計・施工

有賀製材所式ペチカ

信州伊那谷を中心に過去半世紀に渡り400基近くの設置実績

戦後、満州から引き揚げてきた人たちが野辺山地区へ開拓に入っている歴史があり、標高1,000mを超える寒さ厳しい野辺山の冬を過ごすために、満州に広まっていたペチカを真似て作ったのが始まりとされています。ただ、当時のペチカは工法も技術も確立されておらず、焚き方の情報も曖昧だったため、性能を十分に発揮出来ず早い段階で廃れていったとみられます。
そんな中、二代目代表有賀進(現会長)の古くからの知人で野辺山在住の佐々木氏が、ペチカの事例を独自に調べ、ペチカ施工経験のある臼田町の職人へ施工を依頼して、昭和47年に自宅にペチカを導入します。施工を担当したのは、当時農村医療を確立した医師として知られた佐久総合病院の若月医院長宅へペチカを施工した実績を持つ職人で、3兄弟の末っ子の方が一人で来てペチカを積んでくれたとのこと。当時佐々木氏も施工を手伝ったそうです。因みに、若月医院長宅とその息子さん宅にもペチカがあったようですが、現在は使われていない模様。

その後、ペチカの温かさに惚れ込んだ佐々木氏が先代有賀進に事あるごとにペチカの良さを勧め、そこまで言うならと昭和53年、先代が佐々木宅へ実物を見に行き、図面に起こし、伊那谷に持ち帰って様々な改良と継承を重ねながらペチカの文化を広めたのが有賀製材所式ペチカの始まりです。
・ルーツは満州 → 野辺山 → 伊那谷

野辺山 佐々木宅のペチカ。50年以上経った今も現役で稼働
変わらぬ工法でペチカ施工の様子

ペチカの仕組み

ペチカとは、薪を焚いた時に出る熱を本体レンガに蓄えて暖を取る“蓄熱式”の薪ストーブです。火が消えた後も、レンガに蓄えられた熱が長時間にわたり室内に輻射熱として放出し続けるため、真冬の厳冬期でも、朝晩と一日2回焚くだけで24時間通して心地よい暖かさが続きます。
信州のような寒冷地には大変適した暖房器具といえます。

 

レンガで積まれた本体の中には縦方向の煙道が幾つもあり、熱はその煙道を通って煙突から抜けるまでの間に本体レンガに蓄えられます。北欧やロシアには石で積んだ「メンスンリーヒーター」と呼ばれるペチカと似た蓄熱式ストーブがありますが、その多くは煙道が横方向なのに対して、満州で広まっていたペチカは煙道が縦構造だったようで、それをルーツにする有賀製材所式ペチカも縦構造を引き継いでいます。

 

縦構造のメリットは何といってもメンテナンスのし易さとドラフトの強さにあります。縦構造の煙道は灰が溜まりにくく、本体の掃除もシーズンに一度煙道下部に溜まった灰を掻き出すだけと非常に簡単です。更に、毎日焚き続けることで常に本体が温まっているペチカは、仮に火が消えていてもダンパー(気流止め)を開放するだけで勝手に強いドラフト(上昇気流)が起こります。これも縦構造のペチカの大きな特徴です。ペチカ内部の温度と外気温の差が有れば有るほど、要は外気温が下がれば下がる程ドラフトは強くなるため、真冬ほど薪は良く燃えます。強いドラフトにより完全燃焼させるペチカ独特の焚き方は、煙も煤(スス)も出さないため近隣への煙害が少なく、結果、煙突掃除もする必要が無いというメリットに繋がります。

ペチカの内部構造と熱の流れ

ペチカの焚き方

短時間にある程度まとまった量の薪を勢いよく燃やします。高温で完全燃焼させる焚き方を心掛けていれば煙突から煙が出ないため、基本煙突掃除をする必要はありません。逆に少量の薪を空気を絞ってトロトロと燃やす焚き方は、燃焼温度が上がらずペチカは思ったほど温まりません。しかも常に煙突から煙が出続けるため煤が付きやすく定期的な煙突掃除が必要になるためお勧めしません。乾燥の甘い薪でそのような焚き方をしてしまうと煙道内にタールがこびり付き、煤臭い独特の臭いが出たり、酷い場合は煙道火災を起こすことがあるため注意が必要です。

・真冬は朝晩の2回火を入れることで、ペチカの温度を下げないようにする
・燃やすときは完全燃焼(煙突から煙を出さない)
・焚く時間は短時間 (例:朝1時間、夜1~2時間)

薪ストーブの薪は一般的には広葉樹が良いとされていますが、ペチカに関しては針葉樹が適しています。針葉樹は火持ちはそれほどありませんが、特にカラマツ、アカマツはヤニっ気があるため燃焼温度が高く、より多くの熱をペチカ本体に蓄えることが出来るからです。
山で間伐されて切り捨てられることの多い針葉樹が立派な燃料になるため、山林資源の有効活用や山の景観整備にも繋がります。また完全燃焼させることで灰の量が極端に少なく済むのも針葉樹の良い所です。唐松の薪を燃やした時に出るパチパチとはぜる音は冬のペチカの風物詩です。

・薪の乾燥はしっかりと
・針葉樹が燃料に(カラマツ・アカマツは最高の燃料)
・火持ちより火力

一般的な薪ストーブに比べて放熱量が格段に多いため、冬場の洗濯物干しは最強です。夜のうちにペチカ周辺に干しておけば朝にはカラカラに乾いています。
また焚口上部は煮込み料理やドライフルーツなどの調理に使えますし、焚口内部ではピザを焼いたり焼き芋を作ったり、アイデア次第で様々な調理に活用できます。


ただし、「オーブン付きペチカ」といった調理を目的としたペチカは今のところ弊社では作っていません。目的を間違えると本来のペチカの暖房性能が発揮されないことに繋がります。弊社で扱っているペチカはあくまでも暖房器具です。

弊社では様々なペチカのご相談に乗っています。
新築、リフォーム問わず、ペチカをご検討の方は先ずはお気軽にお問合せください。
ただし施工を請けているのは長野県内及び山梨県北杜市近隣(日帰りで通える範囲)のみとなりますのでご了承ください。
ペチカは配置計画がとても大事です。特に新築の場合は基本計画の段階から検討する必要がありますので早目のご相談をお勧めします。また、既存住宅に設置する場合(リフォーム)も、床下・天井裏等の事前調査をしっかり行った上で、設置可能かどうかの判断をさせて頂きます。条件によってはお勧めしない(お断りする)こともあります。
また、ペチカは毎日焚き続けることが大前提の暖房器具の為、あくまでも住宅が対象となります。別荘やゲストハウス等にはお勧めしません。

 

凡その費用は、新築の場合で200万~、リフォームの場合は条件によっては300万以上掛かるケースが一般的です。(遠方経費は別途)

ペチカの裏側 洗濯物干しの例

これまで有賀製材所が積み重ねてきたペチカの思想・構造・技術・失敗例を共有し、各地域でさらに発展していくことを目指し、現在プロによるペチカ作りのネットワークを構築中です。弊社が長年培ってきたペチカに関するあらゆるノウハウを共有しながら、先ずは有賀製材所式ペチカを理解して頂いた上で、新たな視点を加えたペチカ作りを一緒に目指せる信頼できる仲間と活動を開始しています。現在長野県信濃町と群馬県桐生市のチームと一緒に活動していますので、近い将来そこを起点としたペチカ作りのプロをご紹介出来る予定です。

ペチカは作って終わりではなく、その後のメンテナンス・アフターフォローを含めて、ユーザーと作り手との息の長い信頼関係が重要になります。安心してペチカをお使いいただけるように、情報を共有しながら丁寧なフォローを提供できる体制を整えます。

更には単にレンガを積む技術だけではなく、配置計画、煙道計画、施工精度、焚き方、地域性、個々の暮らしとの関係性を含めた「ペチカ文化の継承」を実現するためのネットワーク作りを目指しています。

ペチカユーザーの声

薪を使う暖房は初めてでしたが、ペチカは蓄熱効果が絶大であるにもかかわらず、思っていたより薪の消費が少ないことに驚きました。日中なら半袖で居られるほど家中が暖かくなりますし、外は極寒でも朝起きた時の心地良さは格別です。焚き終わって火が消えた後、焚き口からサツマイモを放り込んでおくと2時間ほどでふっくら美味しい焼き芋が出来あがります。それが、我が家に遊びに来る友達や家族のキッズ達に好評で、遠方からでも楽しみにして来てくれる様になりました。また、当初は薪割りも楽しみの内のひとつにしようと考えていましたが、有賀製材所さんからセッパ薪を分けていただけるので大きな薪棚を用意する必要もなくなりましたし、仕事に専念できるので大変助かっています。
J.Hさん 箕輪町